2013.11.1 名古屋三菱訴訟 韓国光州地方法院判決文3

 ク、民官共同委員会の開催

   原告らと同じ強制徴用者である鄭昌喜(チョン・チャンヒ)、李根睦(イー・グンモク)、李炳穆(イー・ビョンモク)、鄭尚華(チョン・サンファ)らは外交通商部長官(外務大臣に相当)を相手に起こした情報公開拒否処分取消し訴訟(ソウル行政法院2002ク合33943)で2004年2月13日勝訴判決を受け(外交通商部長官の控訴取下げで第1審判決がそのまま確定した)、これに従って大韓民国政府は請求権協定と関連する一部の文書を公開した後2005年8月26日「韓日会談文書公開後続対策関連、民官共同委員会」(以下、「民官共同委員会」という)を開催し、「請求権協定は日本の植民支配による賠償を請求するための交渉ではなく、サンフランシスコ条約第4条に基づき韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係を解決するためのものであって、日本軍慰安婦問題等、日本政府及び軍隊等、日本の国家権力が関与した反人道的不法行為に対しては、請求権協定で解決されたと見ることはできず、日本政府の法的責任が残っており、サハリン同胞問題と原爆被害者問題も請求権協定の対象に含まれていなかった。」という趣旨の、公式意見を表明した。

ケ、第2次世界大戦終了後の各国の戦後賠償

 1945年第2次世界大戦が終了するとフランスは戦勝国になり、ドイツ国と日本国は敗戦国になった(大韓民国は1951年サンフランシスコ講和会議から日本国の反対で戦勝国名簿から除外された)。第2次世界大戦が終了した後、戦勝国、敗戦国、植民地から独立したすべての国が、各自の歴史から過去清算のために努力したし、これは現在まで続けられているが、ここには上の戦争の犠牲者に対する賠償もまた含まれている。

  1)ドイツ国のケース
    ドイツの場合、敗戦直後司法的には連合国のニュルンベルク国際戦犯裁判で国際法上初めて反人類犯罪を規定し、ナチの侵略戦争、ユダヤ人及び民間人虐殺の責任者を起訴、処罰したし、政治的には脱ナチ化粛清作業を行った。
                     
2) 第2条 この法の規定による申告対象の範囲は、1945年8月15日から1965年6月22日まで日本国に居住していた者を除く大韓民国国民が、1945年8月15日以前に日本国及び日本国民に対して持っていた請求権等で、次の各号に掲示するものとする。
 9, 日本国に依って軍人、軍属または労務者に召集または徴用され1945年8月15日以前に死亡した者
しかし敗戦直後の一般ドイツ人はこれを戦争敗北の代価と受取って、依然とナチ
ズムを「理念は良かったのだが、実行で誤った」という好意的評価をしたし、連合国の戦犯裁判が終わった後、世界的に米国とソ連を軸とする冷戦時代が訪れる中、二度の赦免法でナチの主要人物を社会や職場に復帰させる立法を行った。
    そしてアデナウア政権の政治的安定とライン河の奇跡と呼ばれる経済的繁栄を足場に、ナチ時代を経験していない「遅く生まれた幸運児」への世代交替がなされ、ナチズムとその時代にあった事を人権の観点から眺め見る市民社会の成熟が成されて来た。
    このような土壌の上に1960年代後半、戦犯アイヒマンに対する裁判を行ないながら、西ドイツ内の自発的なナチズム清算作業が本格化したし、1945年を敗戦ではなく、ナチズムからの解放と見る認識の転換が起きることになった。
    その後ドイツは統一前までユダヤ人ら、ナチ政権の被害者にドイツ連邦賠償法に依って84兆ウォンを賠償したし、2000年頃には約570万人に至る外国人強制労働者たちのナチ政権期間の間の賃金と強制徴用に対する補償のために、政府と企業が共同で出損した「記憶、責任、そして未来(Erinnerung, Verantwortung und Zukunft)という名前の財団を設置した。
    ドイツの真なる過去清算は戦後、一世代が過ぎた後である1960年代後半から成されたし、再び一世代が過ぎた去る1990年代に至ってひとつの国家の次元を超え、その対象者が拡大したし、何よりもナチズムに対する過去清算はドイツ統一後、東独政権の精算に関する社会的費用と混乱を減らすこととなった。

2)米合衆国のケース
  在米日本人を強制移住させた米合衆国も、その被害に対して賠償した。米合衆国議会は1988年頃市民的自由法を制定しながら強制収容を謝罪する条項を明示的に規定し、議会が国を代表して在米日本人たちに謝罪して、市民的自由公共基金を設立した。上記基金に依って収容当時日本系米国市民、または永住外国人だった者、また賠償法設立当時生存していた者は現在の国籍を問わず賠償金を支給されることとなった。

3)カナダのケース
  カナダはカナダ政府が、カナダ居住日本人に対して強制移住と強制収容をして財産を奪い、日本に強制送還させて選挙権を剥奪したことに対して賠償した。カナダ政府は1988年頃全カナダ日本人協会との間で、カナダ政府がカナダ日本人を強制収容したこと等に対して人権侵害と認め、再びそういうことを起こさないことを誓約する内容の協定を締結した。上記のような協定に基きカナダ政府は日本系カナダ人社会に福利と人権擁護の活動費等に1,200万ドルを支払った。また異文化間の相互理解と人種差別を根絶するために、カナダ人種関係基金を設立させた。

4)日本国のケース
  日本国は1988年頃まで13件の戦争援護法を制定し、約38兆円を支出したが、その対象は軍人や軍属だけに限ったもので、戦争被害者や強制徴用者に対する賠償ではなかった。結局日本国はドイツ国とは違い、自発的な過去清算をせず、大韓民国、中国と絶え間ない外交摩擦を引き起こしており、現在台湾、フィリピン等、東南アジア諸国での従軍慰安婦、強制徴用者、原爆被害者、ハンセン病患者等から日本軍国主義者の戦争に因る法的責任を、自国のみならず米国等他の国からも問われ続けている。

 コ、日本での訴訟経過と原告らの死亡

  1) 原告らは1999年3月頃、日本国名古屋地方裁判所で被告らを相手に旧三菱の強制徴用等、国際法違反及び不法行為等を理由とした損害賠償金として一人当り3,000万円の支給を求める訴訟を起こしたが、2005年2月24日原告請求棄却判決を宣告された。その後、名古屋高等裁判所に控訴したが2007年5月31日控訴棄却判決を宣告され、最高裁判所が2008年11月11日原告らの上告を棄却し、上の判決が確定した(以下、このような日本での訴訟を「本件日本訴訟」とし、その判決を「本件日本判決」とする)。

  2) 原告らは本件日本訴訟が終了した後、約2年間17度にわたり被告側と賠償のための交渉をしたが合意に至らなかったので、2012年10月14日大韓民国の裁判所に被告を相手に日本で主張したのと同一の請求原因を内容として、不法行為を理由とした損害賠償金の支給を求める本件訴訟を起こした。

  3) 亡金福禮は本件日本訴訟が第1審裁判所で継続中だった2001年12月3日済州島で死亡したし、死亡当時相続人としては配偶者である原告金中坤と3名の子女(金AA男、金BB女、金CC男)がいた。
  [認定の根拠]争いのない事実、甲第1ないし7号証(枝番号がある場合、各枝番号を含む)、この法院の強制動員犠牲者等支援委員会に対する各事実照会の結果、原告ら当事者尋問の結果、弁論全体の趣旨

2.本案前の抗弁に関する判断

 ア、被告の主張
    被告は、国際司法附則第2条は「この法施行(2001年7月1日)以前に生じた事項に対しては、従前の渉外事業に依る」と規定しているが、従前の渉外事業には国際司法管轄に関する何らの規定もなく、これと関連した条約や一般的に承認された国際法規が存在しない。したがって渉外的事件に関する国内法院(裁判所)の裁判管轄を認定するかどうかは、訴訟当事者の公平、裁判の適正、迅速を期するという基本理念に沿って条理により決定しようとするのだが、原告らが日本で同一の訴訟を起こし、証拠調査をすべて終えた後、敗訴判決の宣告を受けて確定したし、被告は大韓民国に支店や営業所がなく、本件訴訟の請求原因がすべて日本で起こり、大韓民国とは実質的関連性もなく、日本の法人である被告に大韓民国の裁判所で日本の訴訟と同一な内容の訴訟を反復させるのは、前でみた基本理念に反するので、本件の訴訟は裁判管轄権のない大韓民国の法院で起こされ不適法であると主張する。

 イ、判断
    国際裁判管轄の決定においては当事者間の公平、裁判の適正、迅速及び経済を期するという基本理念に沿うべきであり、具体的には訴訟当事者たちの公平、便宜そして予測可能性のような個人的利益のみならず、裁判の適正、迅速、効率及び判決の実効性等のような裁判所ないし国家の利益も共に考慮するべきだろうし、このように多様な利益のうち、どのような利益を保護する必要があるかと余否は、個別事件で法廷地と当事者との実質的関連性及び法廷地と紛争になった事案との実質的な関連性を客観的な基準として合理的に判断しなければならず(2012年5月24日宣告2009タ22549判決、2006年1月27日2002タ59788判決等参照)、国際裁判管轄に関して条約や一般的に承認された国際法上の原則がまだ確立されてなく、これに関するわが国の成文規定もない以上、わが国の民事訴訟法の土地管轄に関する規定若しくは上の基本理念に沿って制定されるものなので、基本的に上の規定に依る裁判籍が国内にある時には、渉外的事件に関してもわが国に裁判管轄権があると認めることが相当である(大法院1992年7月28日宣告91タ41897判決等参照)。
    本件で見ると、本件の請求は旧三菱が日本国と共に原告らを強制連行した後強制労働をさせた一連の行為が不法行為で、被告は旧三菱の原告らに対する法的責任をそのまま負担すると主張するものだが、上の認定事実に依れば大韓民国は上のような一連の不法行為のうち、一部がなされた不法行為地である点、原告らが本件で主張する事実を裏付ける日本内の物的証拠はほとんど滅失した反面、被害者である原告らがみな大韓民国に居住しており、事案の内容が大韓民国の歴史及び政治的変動等と密接な関係がある点等を知ることができ、大韓民国は本件の当事者及び紛争になった事案と実質的関連性があるといえるし、したがって大韓民国の裁判所は本件に対して国際裁判管轄権を持つといえるので、被告の上の主張は理由がない。

<4へ続く>
by fujikoshisosho | 2013-11-08 18:10 | 韓国レポート


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