2013.11.1 名古屋三菱訴訟 韓国地方法院判決文6

キ、損害賠償の範囲に関する判断

 1)慰謝料の金額
   下で説示する原告らの年齢と性別、不法性の程度及びその故意性、被告がこのような不法行為に至ることになった経緯及びその関与程度、それに因る原告らの被害の程度、にもかかわらず不法行為以後50年を超す期間の間、責任を否定した被告の態度の程度等の、当審弁論終結当時までに発生した一切の事情と共に、本件の不法行為時と当審弁論終結時の間の長期間の歳月が経過することに沿った国民所得水準や通貨価値の変動等を考慮し、このように不法行為時と弁論終結時間の通貨価値の変動等を考慮した慰謝料賠償債務の遅延損害金は、例外的にその慰謝料算定の基準時である事実審の弁論終結当日から発生すると見なければならないことに沿って、不法行為時から弁論終結時まで長期間の間賠償が遅延したのにその期間に対する遅延損害金がまったく加算されなくなるという事情まで綜合的に考慮してみると(大法院2011年1月13日宣告2009タ103950判決、大法院2011年7月21日宣告2011財タ199全員合議体判決等参照)、被告が支給しなければならない慰謝料は、本件の弁論終結日を基準に原告ら、本件の勤労挺身隊員一人当り150,000,000ウォンに、勤労挺身隊員の家族である原告金中坤本人の慰謝料は30,000,000ウォンに各定めるのが相当である(本件の慰謝料は、被告が同一な釜山高等法院2012ナ4497事件の原告らは当時満28歳から22歳の男性たちで、強制労働期間が11ヵ月程度なのに比べ、本件の原告らは当時13、14歳の女性たちで、日本が1932年頃批准登録した強制労働に関する条約に依れば、絶対的に強制労働が禁止される齢だったし、強制労働期間が1年5ヵ月程度である点等を参酌して算定した)。

   ア)被告は朝鮮半島に対する不法な植民地体制を固めて、日本帝国主義の膨張のために侵略戦争を遂行しようとする日本政府に積極的に協力し、綿密な計画の下に、充分な判断能力を持てない満13、14歳の原告らを、上級学校への進学、充分な賃金提供等と欺罔したし、これに原告らの家族が反対すると家族に危害を加えるかのように原告らを脅す方法で強制連行した。

イ)被告は上のように原告らを強制に連行し、過酷な行為を加えながら強制労働を強要した。これに因って原告らは幼い齢で家族と離別し、家族の保護を受けるとか、家族を扶養する機会を奪われ、教育の機会や職業選択の自由も剥奪されたまま、ただ日本国が敗戦する時まで被告が強制する日程と規範に従って労働に従事するしかなかった。

ウ) 被告は原告らに強制労働を強要しながら、最小限の保護義務を提供や賃金の支給もしなかったし、食事も粗末で外出や家族と行き来する手紙も制限・検閲した。

エ)亡金淳禮は本件の工場内で東南海地震で死亡したし、原告金性珠は本件の工場で強制労働をしていた時に人差し指を切断する怪我を負ったりした。

オ)進んで慰安婦と挺身隊はすべて形式的には勧誘に依るものではあるが、その勧誘が事実上経済的利益を装った欺罔に過ぎないもので、行政機関が募集に関与する等、慰安婦と挺身隊の間には類似点が多く、当時日本国内でも慰安婦という言葉より挺身隊という言葉が広く使われ、被告も勤労挺身隊員である原告らが慰安婦と大韓民国で混同されるだろうという点を予想したように見え、原告らは実際に慰安婦と誤解され、正常な結婚生活を営為できなかったり、夫に自身の過去を事実通りに言えないまま60年暮して来ざるを得なかった。

カ)第2次世界大戦の終了後、世界各国は戦争に因る強制労働者等被害者に戦後賠償のための特別法を作る等、賠償のために努力しており、軍需企業もまた同じように努力しているのに反して、被告と日本国は原告のような強制徴用被害者に対していかなる損害賠償もしないまま50年を超す期間の間、責任を否定した。

 2)原告金中坤の相続分に関する判断
   原告金中坤は自身の妹である亡金淳禮の相続人として金淳禮の慰謝料を請求すると主張するので調べてみたところ、金淳禮が1944年12月7日死亡した事実は前で見た通りで、当時家族内の女子が死亡した場合、父が相続するのが慣習法といえるが、この法院の強制動員犠牲者等支援委員会に対する2013年7月3日付け事実照会結果に依れば、金淳禮が死亡した当時金淳禮の父である金泰源が生存していた事実が認められるので、金淳禮の慰謝料は上の金泰源が単独相続したということができ、原告金中坤が金淳禮の相続人であることを前提とする原告のこの部分の請求は理由がない。
   次に原告金中坤は自身の妻である亡金福禮の相続人として金福禮の慰謝料を請求すると主張するので調べてみたところ、金福禮が死亡した当時相続人として配偶者である原金中坤及び3名の子女がいたという事実は前で見たのと同じなので、原告金中坤は金福禮の慰謝料のうち、その相続持ち分に従って50,000,000ウォン(150,000,000ウォン×3/9)の相続を受けるというべきである。

 3)遅延損害金の起算日
   原告らは被告の慰謝料支給債務に対して、本件の訴状送達翌日からの遅延損害金を請求している。
   慰謝料の算定においては弁論終結当時までに発生した一切の事情が、その参酌対象になるのみならず、慰謝料の算定の基準になる国民所得水準や通貨価値等も弁論終結時のものを反映させなければならないが、不法行為が行われた時期と近い頃に、
  通貨価値等の特に大きな変動がない状態で、慰謝料の金額が決定される場合には、その債務が成立した不法行為時から遅延損害金が発生すると見ても特別に問題になることはないが、不法行為時と弁論終結時の間に長期間の歳月が経過し、慰謝料を算定するにおいて必ず参酌するべき弁論終結時の通貨価値等に、不法行為時と比較して相当な変動が生じた時にも、不法行為時から遅延損害金が発生すると見る場合には、顕著な過剰賠償の問題が起きるといえるだろう。したがって不法行為時と弁論終結時の間に長期間の歳月が経過し、慰謝料を算定するにおいて必ず参酌するべき弁論終結時の通貨価値等に、不法行為時と比較して相当な変動が生じた時には、例外的にでも不法行為に因る賠償債務の遅延損害金は、その慰謝料算定の基準時である弁論終結当日から発生するとだけ見るべきである(大法院2011年1月13日宣告2009タ103950判決参照)。
   このような法理に照らしてみると、本件の場合、不法行為時の終了日である1945年頃から本件の弁論終結時である2013年10月4日までの間に60年以上の長期間が経過して通貨価値等に相当な変動が生じたし、そのように変動した事情まで参酌して本件弁論終結時を基準に慰謝料の受取額を決定したので、本件の弁論終結日以後の期間に対してだけ遅延損害金を支給するべきである。したがって原告らの上記慰謝料に対して、本件訴状副本送達翌日から、本件弁論終結日前日である2013年10月3日までの遅延損害金の支給を求める部分は理由がない。

ク、小結論
したがって被告は、原告梁錦徳、李東連、朴海玉、金性珠に各150,000,000ウォン、原告金中坤に80,000,000ウォン(=亡金福禮の慰謝料のうち、原告金中坤が相続した50,000,000ウォン+原告金中坤本人の慰謝料30,000,000ウォン)及び上の各お金に対して、前で見たように本件弁論終結日である2013年10月4日から本件判決宣告日である2013年11月1日までは民法で定めた年5%の、その翌日からすべて払い終える日までは訴訟促進特別法で定めた年20%の各比率による遅延損害金を支給する義務がある。

4.結論
 今やっと小学校を卒業した少女たちは、学校に通わせてくれて、お金も儲けさせてくれるという虚言に騙されて故郷を離れるしかなく、日本で非人格的な待遇と過酷な強制労働に苦しめられるしかなかった。少女たちの内、ある者は日本で生き残れなかったし、生き残った者たちは故郷に帰って来たものの、慰安婦と非難されるのが怖くて自身の被害に対して自ら沈黙しながらわが韓国社会から疎外されて暮すしかなかった。50年以上もの歳月が流れ老婆になった少女たちは大韓民国政府に無視されたまま、韓国の市民団体と日本の良心的知識人、弁護士らの助けで10年余りをかけて日本と行き来し裁判を行った。そして今や80歳を越し、杖と車椅子に頼りながらこの法廷に立つ原告らを見ながら、われわれは皆同じ人間として原告らのような歴史の被害者たちに今後も関心を持ち続けるべきであろう。最後に日本政府と被告のような企業は、これからでも原告らのような強制徴用被害者の痛みに関して関心を持ち、積極的に解決に向かった時、両国の市民と政府の間のわだかまった感情の問題も解決できるだろうと思う。
 以上のような理由から原告らの本件請求は各上の認定範囲内で理由があるのでこれを認容し、各残りの請求は理由がなくこれを棄却することにして、主文の通り判決する。

  裁判長 判事 李鐘匡(イー・ジョングァン)
      判事 柳鳳根(リュー・ボングン)
      判事 柳智元(リュー・チウォン)
by fujikoshisosho | 2013-11-08 18:18 | 韓国レポート


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